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市況・マーケットレポート

世界最大の政府系ファンドが米国債を減らす提案 富裕層の資産分散で不動産はどう位置付けるべきか

世界最大の政府系ファンドが米国債の比率引き下げを提案。富裕層の資産分散において、不動産が担う役割と注意点を東京の高級不動産市場の視点から整理します。

ANSERA INSIGHT / GLOBAL CAPITAL
世界最大の政府系ファンドが
米国債比率の見直しを提案
富裕層の資産分散において、不動産はどのような役割を担うべきか。
世界最大級の長期投資家の判断から考えます。
SOVEREIGN WEALTH FUND / ASSET ALLOCATION / 2026

世界最大の政府系ファンドとして知られるノルウェー政府年金基金(Government Pension Fund Global)の運用主体、Norges Bank Investment Management(NBIM)が、債券ポートフォリオの構成を大きく見直す提案を公表しました。

Reutersの試算では、この提案が実施された場合、米国債の保有額は現在の約2,150億ドルから約800億ドル減少する可能性があります。ニュースの見出しだけを見ると「世界最大の政府系ファンドが米国債から撤退する」と受け取りたくなりますが、実際の内容はそれほど単純ではありません。

今回の動きから富裕層の資産形成で考えるべきなのは、「米国債が危ないか」ではなく、資産ごとの役割を分け、ポートフォリオ全体でリスクと流動性を設計する重要性が高まっているという点です。その中で、不動産はどのような役割を担うべきなのでしょうか。

世界最大の政府系ファンドは、何を変えようとしているのか

現在、同基金の債券ベンチマークは、国債・政府関連債が70%、企業などが発行するその他の債券が30%という構成です。NBIMは今回、国債・政府関連債の比率を70%から50%へ引き下げ、その他の投資適格債を50%へ引き上げることを提案しました。

NBIMが提案する債券配分の変化
現在
国債・政府関連債 70%
その他 30%
提案後
国債・政府関連債 50%
その他 50%
NBIMの2026年9月公表資料を基にAnsera作成。

NBIMは、国債には「ポートフォリオ全体の値動きを抑える」「必要なときに現金化できる流動性を確保する」という重要な役割がある一方、必要以上に国債を保有すると、期待リターンを下げるコストにもなり得ると説明しています。

そこで、住宅ローン担保証券(Agency MBS)や政府関連債なども含め、より幅広い投資適格債へ分散することで、流動性を保ちながらリスク・リターンの改善を目指すという考え方です。

重要なのは、「米国から資金を引き揚げる」という提案ではないことです。
Reutersによれば、米国債の比率は低下する一方、米ドル建て資産全体の比率は大きく変わらない想定です。また、この変更はまだ提案段階で、政府・議会の審査を経る必要があり、実施されても早くて2027年半ば以降とされています。

富裕層が学ぶべきなのは「安全資産を減らすこと」ではない

今回のニュースを「国債より株や不動産を買うべき」と解釈するのは適切ではありません。むしろポイントは、すべての資産に同じ役割を求めないことです。

近い将来に使う資金や相場急変時に動かす資金は、現金や流動性の高い債券などで確保する。一方、長期間使う予定のない資金については、株式、不動産、その他の資産を組み合わせ、収益性やインフレ耐性、値動きの違いを利用する。世界最大級の長期投資家も、こうした「役割分担」を改めて見直していると読む方が本質に近いでしょう。

では、不動産は資産分散の中で何を担うのか

資産分散における不動産の4つの役割
01 / INCOME
インカム
賃料収入による継続的なキャッシュフロー
02 / REAL ASSET
実物資産
土地・建物という実物に裏付けられた価値
03 / DIVERSIFICATION
分散
株式・債券とは異なる需給構造を持つ
04 / LONG TERM
長期保有
短期売買より長期の資産設計と相性がよい

不動産には、賃料収入というインカム、実物資産としての性格、株式や債券とは異なる値動き、長期保有との相性といった特徴があります。とりわけ都心の住宅は、居住需要そのものが存在するため、金融資産とは異なる需給構造を持ちます。

一方で、不動産は現金や国債の代わりにはなりません。売却には時間がかかり、取得・売却コストも発生します。また、数億円の物件を1戸保有すれば、特定の立地・建物へ資産が集中することになります。借入を使えば、金利上昇による影響も受けます。

したがって富裕層の資産設計では、「不動産を何%持つべきか」よりも、「その不動産に何を期待するのか」を先に決めることが重要です。

東京の高級不動産なら、見るべきは「値上がり予想」だけではない

資産分散の一部として東京の高級不動産を検討するのであれば、少なくとも次の5点は分けて確認する必要があります。

  1. 出口の流動性
    将来売却するとき、同じ価格帯で購入できる買主がどの程度存在するか。
  2. 賃貸需要
    自宅利用を終えた後も、賃貸運用へ切り替えやすい立地・間取りか。
  3. 希少性
    駅距離、眺望、ブランド、規模、共用部など、将来も代替しにくい特徴があるか。
  4. 保有コストと借入
    管理費・修繕積立金・税金に加え、借入を使う場合は金利上昇に耐えられるか。
  5. 資産全体とのバランス
    すでに事業、自宅、国内株式など日本円資産へ偏っていないか。逆に海外資産が多い場合、日本不動産を持つ意味は何か。

同じ3億円のマンションでも、「5年後に売却したい人」と「20年間保有したい人」、「自宅として使う人」と「賃貸収入を得たい人」では、選ぶべき物件は変わります。

Anseraの見解:物件選びの前に「その資産の役割」を決める

高額不動産の購入では、どうしても「このマンションは上がるか」「今が買い時か」という議論になりがちです。しかし、資産規模が大きくなるほど、本来は物件単体ではなく資産全体から考える必要があります。

たとえば、流動性資産を十分に保有している方であれば、不動産には長期保有によるインカムや資産保全を求めやすくなります。一方、数年以内に事業投資や大きな資金需要が見込まれる場合、流動性の低い不動産へ資金を寄せ過ぎることは適切ではありません。

世界最大の政府系ファンドによる今回の提案が示しているのは、「安全資産を捨てること」ではなく、安全性・流動性・収益性を一つの資産だけで満たそうとせず、それぞれに役割を持たせることです。不動産もその一部として位置付けることで、購入判断の精度は大きく変わります。

ANSERA VIEW
「不動産を買うべきか」ではなく、「資産全体の中で、その不動産に何をさせるのか」。
富裕層の不動産選びでは、この順番が重要だとAnseraは考えます。

※本記事は公開情報を基にした一般的な情報提供を目的とするものであり、特定の金融商品・不動産への投資を推奨するものではありません。個別の投資・税務・法務判断については、各分野の専門家へご相談ください。

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